「火車」宮部みゆき ちょっと感想
なんでだかミステリーも現代モノも嫌いな私なんですが
いい加減有名作品くらい読んでみたらってなって読了に至りました。
読んでて思ったこと。
あれ、現代モノなのになんだか風景描写が古いな?でした。
それもそのはず。
舞台は平成2年とかそこいらで、ちょうど私が生まれるかどうか辺りです。
物や流行だけでなく風景そのものも昭和から脱却し、平成として新しい風景に書き替えようといった転換期のような時ですよね。
ものの移り変わりが見て取れるような描写でした。
今は平成29年で、昭和の匂いがしない、完全に平成の世として成り立っている今だからこそこの描写に目が行くんだろうなあと思います。
固定電話を使って話すところもそう。
今じゃ固定電話なんて個人ではほとんど使われてない。
持ち運び出来る携帯電話ですね。
なんなら連絡だってメールという電子のお手紙使うからね。
ここ30年の移り変わりを見下ろして見てるような気持ちでした。
人物設定。
養子をとってるなんて、これは今でも珍しいような?
周りではあまり聞かないし、
小説にも出てきたように養子だって周りに知られると陰でいろいろ囁かれる。
これは今でも変わってないような。
先日、同性カップルが養子をとったっていうニュースを聞いた気がする。
当事者達は何も自分達のことを可哀相だなんて思っていないのに、周りが勝手に子どもが可哀相だと野次を飛ばしていたそうで。
技術が向上して暮らしは豊かになったのに、人の心というか内面は何十年経ってもそう変わるものではないようですね。
外面は変えようと思えば目に見える形で変えることが出来るけど
内面は見えづらいから気付こうとしないと気付けなく、気付けばそのまま停滞していたなんてことがよくあるよくある。
やっぱり人間だなぁ、僕ら。
この小説、面白いかどうかは私にはよくわからない。
そもそもあまり読書をしない人間で読むと言っても歴史小説ばかりだったものだから、いきなり苦手としているミステリーと現代モノだから判断出来ないのは仕方ないかなって。
それよりも700ページちゃんと読んだ自分偉いなってまずそこをとてもとても褒めたい。
そして金融ネタって複雑なはずなのでよくこれを理解して上手く小説として書き上げられたなってその手腕に終始脱帽してました。